暗号資産のサイバー対策組織「JPCrypto-ISAC」が設立、業界内での情報共有・連携へ
「JPCrypto-ISAC」が設立
日本で初となる暗号資産(仮想通貨)のサイバー対策組織「一般社団法人JPCrypto-ISAC」の設立が3月7日に発表された。なお同組織は1月17日に設立されていたとのこと。
「JPCrypto-ISAC」は、「日本の暗号資産業界において、幅広くサイバーセキュリティに関する情報を共有・分析し、安全性を向上させる活動を通じて、暗号資産関連サービス利用者の安心・安全を継続的に確保することを目指す業界団体」と説明されている。
なお「ISAC」は、Information Sharing and Analysis Center の略で、業界内での情報共有・連携の取り組み推進を図る組織のことを指す。
「JPCrypto-ISAC」の代表理事には楽天ウォレットのCIO兼執行役員でJCBAセキュリティ・システム部会長である佐々木康宏氏とビットバンクの取締役兼執行役員CTOでJVCEAセキュリティ委員会の委員長である野田直路氏の2名が就いている。
アドバイザーとしてジョージタウン大学の研究教授でBGIN共同議長である松尾真一郎氏、PwCコンサルティングのパートナーである丸山満彦氏、ディー・エヌ・エー セキュリティ部サイバーアナリストである松本隆氏がに参画した。
また「JPCrypto-ISAC」の正会員としてGMOコイン、ビットバンク、SBI VCトレード、Coin Estate、楽天ウォレット、マーキュリー、Crypto Garage、メルコイン、Zaif、ガイア、SBI Zodia Custody、他4社といった16社が入会している。
「あたらしい経済」編集部が、発表同日に開催された記者会見にて代表理事の佐々木氏および野田氏に聞いたところ、入会していない交換業者については1月に設立したばかりで、まさに声掛けを始めたばかりであるとのこと。
「JPCrypto-ISAC」としては将来的には全交換業者に入会をしてもらうよう取り組みをしていくという。これから「JPCrypto-ISAC」が交換業者にとって有用なものか、情報共有の実効性を示していきたいとのことだった。
「JPCrypto-ISAC」の活動内容
「JPCrypto-ISAC」の活動内容は以下の通りだ。
- サイバーセキュリティ等に関する調査研究、提言
- サイバーセキュリティ等に関するベストプラクティスの研究、普及啓発、教育及び広報
- サイバーセキュリティ等に関する研修会、講習会等の開催
- サイバーセキュリティ等に関する会員への必要な情報の提供、会員間のネットワーキング、情報交換
- サイバーセキュリティ等に関する行政当局及び外部機関との連携、情報交換
- サイバーセキュリティ等に関する法令及び行政当局の指針等への準拠
「JPCrypto-ISAC」設立の背景
これまで国内の暗号資産業界では、交換業者でのセキュリティ情報を迅速に共有できる仕組みが存在していなかった。
そのため、情報共有に時間を要する点や、伝統的金融システムとは異なり、特にブロックチェーン技術を含めた新しい技術の情報共有やセキュリティ対策の方法を共有する機会が限定的である点など、業界としてセキュリティに関する課題があったとのこと。
また、周囲の状況にも変化が見られ、金融庁のセキュリティガイドラインにおいて、「ISAC」への関与が明記されている他、 情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS) の2022年版改訂において、脅威インテリジェンスを構築する詳細管理策が追加されており、情報共有の枠組みを構築し運用することが、当たり前のものとして求められていたという。
今回の「JPCrypto-ISAC」の設立は、このような背景を踏まえ、セキュリティナレッジの底上げ、事例共有強化などを推進する組織があると望ましいと考え行われたとのことだ。
参考: JPCrypto-ISAC
画像:幻冬舎「あたらしい経済」編集部
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この記事の著者・インタビューイ
大津賀新也
「あたらしい経済」編集部
記者・編集者
ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。
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ブロックチェーンに興味を持ったことから、業界未経験ながらも全くの異業種から幻冬舎へ2019年より転職。あたらしい経済編集部では記事執筆の他、音声収録・写真撮影も担当。
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